平成15年3月31日
文部科学省
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趣旨 |
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経済・社会等のグローバル化が進展する中、子ども達が21世紀を生き抜くためには、国際的共通語となっている「英語」のコミュニケーション能力を身に付けることが必要である。 |
平成15年3月31日文 部 科 学 省 文部科学大臣 遠 山 敦 子
「英語が使える日本人」の育成のための行動計画の策定について
今日においては、経済、社会の様々な面でグローバル化が急速に進展し、人の流れ、物の流れのみならず、情報、資本などの国境を越えた移動が活発となり、国際的な相互依存関係が深まっています。それとともに、国際的な経済競争は激化し、メガコンペティションと呼ばれる状態が到来する中、これに対する果敢な挑戦が求められています。さらに、地球環境問題をはじめ人類が直面する地球的規模の課題の解決に向けて、人類の英知を結集することが求められています。こうした状況の下にあっては、絶えず国際社会を生きるという広い視野とともに、国際的な理解と協調は不可欠となっています。また、グローバル化は、経済界のみならず個人の様々な営みにまで波及し、個々人が際的に流通する商品やサービス、国際的な活動に触れ、参画する機会の増大がもたらされているとともに、誰もが世界において活躍できる可能性が広がっています。さらに、今日のIT革命の進展により、日常生活から経済活動に至るあらゆる活動が知識と情報を原動力として展開される知識社会に移行しようとしており、知識や情報を入手、理解し、さらに、発信、対話する能力が強く求められています。このような状況の中、英語は、母語の異なる人々の間をつなぐ国際的共通語として最も中心的な役割を果たしており、子どもたちが21世紀を生き抜くためには、国際的共通語としての英語のコミュニケーション能力を身に付けることが不可欠です。また、このことは、我が国が世界とつながり、世界から理解、信頼され、国際的なプレゼンスを高め、一層発展していくためにも極めて重要な課題です。その一方で、現状では、日本人の多くが、英語力が十分でないために、外国人との交流において制限を受けたり、適切な評価が得られないといった事態も生じています。また、同時に、英語の習得のためには、まず国語で自分の意思を明確に表現する能力を涵養する必要もあります。
このようなことに鑑み、文部科学省では、基礎的・実践的コミュニケーション能力の育成を一層重視した学習指導要領の改訂など様々な施策を講じてきました。しかし、このような改善の実をあげるためには、カリキュラムの改善だけでなく、指導方法の改善、教員の指導力の向上、入学者選抜の改善など、様々な取組を同時に行っていかなければなりません。
このため、「英語指導方法等改善の推進に関する懇談会」や「英語教育改革に関する懇談会」等を通じ様々な有識者より意見を聴取し、これらを踏まえ、我が国の英語教育を抜本的に改善する目的で、総合的かつ具体的なアクションプランとして、昨年7月、「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を作成しました。
本「行動計画」は、上記の「戦略構想」に基づき、その後の施策の実施状況や平成15年度予算措置などを踏まえながら、今後5カ年で「英語が使える日本人」を育成する体制を確立すべく、平成20年度を目指した英語教育の改善の目標や方向性を明らかにし、その実現のために国として取り組むべき施策を具体的な行動計画としてまとめたものです。「英語が使える日本人」の育成は、子どもたちの将来のためにも、我が国の一層の発展のためにも非常に重要な課題です。しかし、この課題の解決は、小・中・高等学校・大学等の国公私立学校関係者、地方公共団体関係者をはじめとする英語教育に関わるあらゆる関係者が、それぞれの立場でこの目標を認識し、それぞれに改善に取り組むことを通じてこそ実現されるものであります。また、この改善の実現のためには、保護者、経済界をはじめ関係団体などの積極的な取組のほか広く国民の方々のご理解が必要です。このため、文部科学省では、様々な機会を通じ、本行動計画について広く国民への理解を促すとともに、改善に向けた各種の取組状況などを評価し、毎年、計画を見直すこととしています。
関係各位におかれましては、この趣旨・重要性にご理解賜り、それぞれの責任の下、一層積極的かつ主体的に改善に取り組まれるようお願いします。
平成15年3月31日
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