外国人の目からみた日本の英語
今回は、日本在住 29年のアメリカ人、アリーダ・クラウスさんと日本で英語を9年半教えていたアマンダ・エバラントさんのお二人に「日本人の英語」ということでざっくばらんに話し合っていただきました。
日本では小学校から英語の導入が始まったかのように見えるけれど、実際は「国際理解」という名のもとに、年に数回外国語に触れるという程度のものでしょう。それに加え、近頃話題になっている学力低下問題で、英語どころではない、母国語に力を、なんていう声もあがっているようですね。
でもこのままでは、日本の英語は韓国や中国に遅れをとりますよ。
数ヶ月にいっぺんネイティブを派遣しても何の意味もありません。そうではなく、毎日取り入れたらいいのです。15分から30分程度でいいから「毎日」英語に触れたら、日本の英語も変わると思いますよ。と声をそろえる二人です。
アリーダさん韓国・中国の英語事情
アリーダ・クラウス (Aleda Krause) さんは、児童英語界ではとても有名な方で、ロングマンから出版されている SuperKids、 SuperTots という子供向けの英語テキストの著者でもあります。日本はもとより、韓国、中国で児童英語講師の指導にあたっています。
韓国や中国の英語熱は、もっとすさまじいものがあります。韓国では国の力の入れ方が違います。1997年から小学校3年生 (8歳) を対象に英語が必修科目として導入され、週2時間勉強しています。おもに会話を中心に授業が進められ、英語だけの指導が行われています。
中国でも上海・北京などの大都市では公立小学校での英語教育が導入され始め、中国人の英語教師が英語だけで授業をすすめています。中国では、英語ができると高収入につながるので、これが国民の良い刺激になっているようです。以前は、日本語やロシア語が人気があったんだけれど、最近ではインターネットの普及で英語の使用頻度が増え、「英語をものにする」=「良い仕事に就ける近道」=「高収入」という図式ができているようです。英語の授業は英語だけで
どちらの国も従来の文法重視の英語教育をやめ、会話を中心に、実社会で実際に使える英語を身につけることを目標にしています。日本と違うのは、英語の授業は英語だけで進めているところでしょうか。
アマンダ・エバラント (Amanda Everaert) さんは日本の大学で英語を9年半教えたあと、自分の国、オーストラリアへ帰国し、今では、大学で留学生を対象に英語の指導をしています。アマンダさんは、日本にいるとき、英語の授業にドラマを取り入れ、学生を俳優や女優にしたて、英語を話す恥ずかしさを取り払うという訓練をすすめてきました。とても人気のある講師でした。今回は日本を訪問中にお話を伺うことができました。むやみに英語の練習台として使わないで!
日本人の英語学習者はとても熱心で大好きです。だから、9年半という長い期間日本で過ごしてきました。でも、ひとつだけ気になることがあります。電車の中や街を歩いているとき、英語を学んでいる人によく話しかけられたました。多くの場合、私たちを英語の練習台にしようとしているように思えたわ。
―― そういう風に近づいてこられるのは嫌だった?
ええ、とっても嫌だったわ。特に仕事を終えて疲れて帰るときなんて、「お願いだからそっとしておいて」という感じです。
―― アリーダさんも同じようなこと経験しましたか?
今は電車で通勤しなくなったので、そうでもないんだけど、よくありましたよ。「英語の練習がしたいんです。ちょっと話していいですか?」なんて言って近づいて来る人がいるけれど、実際にその人たちって、自分が話すんじゃなくて、私たちがエンターテインしてくれるのを期待しているんじゃないかな?
自然なアプローチで話しかけられる分には全く問題ありません。例えば、本を読んでいたとしたら、「あ、その本、私も読んだことがあります。何章がおもしろかったですよ。」なんて話しかければ会話がはずんでかえって楽しいかもしれません。
ただ単に英語を話したい目的だけで近寄ってこられるのはちょっとね、と声をそろえる二人でした。英語学習者のマナー
英語学習者の皆さん、英語が少し話せるようになると、やみくもに外国の人と話をしてみたい人っていませんか?
駅で迷っている人を手伝ってあげたり、外国からの観光客に話しかけるぶんには、さほど問題がないのでしょうが、ここ日本で暮らしているネイティブイングリシュスピーカーに、ただ単に英語が話したいという目的で近づくのはマナー違反のようです。相手の立場も考え、ちょっと気をつけましょうか。
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